唐澤嘉昭さん

タイトル
Deco For Divers:ダイバーのための減圧
サブタイトル
ダイバーのための減圧理論と生理学
著者:マーク・パゥウェル
アクアプレスブックス
出版社:アクアプレス リミテッド


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この本の存在を知ったときには、正直言って衝撃でした。
というのは私たちのダイビングの知識の情報源が、どうもビギナー志向であることに欲求不満だからでした。
と言っても高度な専門家のための、減圧理論や生理学、医学レベルの情報が欲しいというよりは、ダイブマスター、インストラクターといったレベルのダイバー、つまりリーダーシップのダイバーが、リクリエーションダイバーの理論的な質問には答えられても、「それが何故か」というバックグラウンドを養う情報源が非常に少ないのです。

そんな私のようなフラストレーションをもった人がいました。イギリスに。
著者のマーク・ポウェルは、イギリス中部のダイブストアのオーナーで、TDIのテクニカルダイビングのインストラクターです。
いわば私たちの仲間です。

その彼の前書きを引用すると、

私はテクニカルダイビングのインストラクターになり、減圧理論を教えることになりました。
減圧ダイビング中に何が起きるかを、より理解させるために、この中間レベルの減圧理論の概説的な情報を生徒に提供しようとしました。
この概説はダイバーに人気がありました。
私と同じように、ダイバーたちは減圧理論の基礎になる、概念やモデルについて知りたがっていたのです。
これらの分野について、お勧めの良い本はないかと、いつも生徒にせがまれていましたが、依然としてそのようなテキストはなかったのです。
やがてコースの減圧理論のセクションで、自分がまとめたノートを使い始めました。
最初は数ページでしたが、次第に内容が膨らんでいき、より広い領域をカバーすることになり、最後にはこの本になったのです。

そしてこの本の大きな特徴ですが、著者は自分が探した論文や情報を、こつこつとまとめています。
専門家の上から目線でなく、自分が知りたいことをまとめた、情報の引用の集大成といった方がよいでしょうか。
それだからこそ価値ある一冊になっているのです。

例えば、コンピューターの基本的な根拠になっている、M値ですが、ワークマンが1960年代に提唱されるまでの、50年もの変遷。またM値を守っても、気泡の発生は防げないこと、多様なM値が存在すること、またその比較。理論的には大きな欠陥がありながら、大きな目で見れば、減圧症の予防に大きな貢献をしている、奇妙な矛盾が述べられています。
つまりダイブコンピューターはかなり危うい理論が根拠ながら、現実には大活躍しているといったことが分かるのです。

安全停止、ディープストップ、ダイビングの飛行機搭乗、気泡理論といった現在のダイビングのキーワードもカバーされています。
とくに気泡理論のあの難しい屁理屈を、これほど簡単に解説したテキストは知りません。

最初に刊行されたのは、2008年で、すでに9年が経ちましたが、2014年には改訂版になり内容がアップデートされています。

わたし自身は初版を入手したときに、まるで内容がダイビングの百科事典なので驚きました。所々を抜き書きしながら読んでいたのですが、途中で“あー!!面倒くせー!!いっそのこと、自分用のメモ代わりに丸ごと一冊、250ページ訳した方が手っ取り早い”と、ということになりました。著者のパウェルさんが熱心にかき集めた情報を、私がパクッタわけです。同時に次から次へと、目から鱗の連続でありました。

日本語でなくては尻込みなされる方もおられるでしょう。最近はありがたいことに翻訳ツールなどもあって、そこそこ役に立ちます。ぜひ関心のあるセクションを少しずつ、お読みいただけば、目から鱗は絶対に保証つきであります。
この本を入手した方に、訳文を差し上げてもよいのですが、著作権だの版権だのと、なにかとうるさい時代なので、みんなで勉強会などができればよいと思うのです。
現在アマゾンで3200円プラス送料でありました。


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