はじめに

東京湾唯一の自然形状干潟ー河口湿地と前浜干潟
木更津市の小櫃川河口には奇跡的に残った広大な塩性湿地と前浜干潟があります。ここには、カニ、二枚貝、巻貝、ハゼ類など東京湾干潟の域のもがすべてそろっています。
『JCUEアンダーウオーターインタープリター』主催で、東邦大学理学部東京湾生態系研究センター名誉教授風呂田先生を講師にお招きし、干潟観察セミナーを開催致しました。

天候に恵まれた2019年6月2日 JR内房線巌根駅に車や電車で各自に集合してから、車で約10分の干潟へ移動です。風呂田先生に、干潟の説明や観察の仕方などレクチャーを受け、それぞれ網やシャベル、ザルなどを手に持ち足を踏み入れました。

干潟へ向かう道はアイやヨシが生い茂り、そこらじゅうにアシハラガニがワサワサ〜ワサァァァといました。とにかく、そこからが超面白い!生き物の宝庫です!

泥地から砂浜へ変わるくらいに、目の前に広大なる干潟が現れ…参加者一同『おぉぉぉ〜何この景色…。凄すぎる!!』と声が漏れます。

6月2日は大潮、水が引いているので見渡す限り…砂地が広がっていました。ひとまず、波打ち際まで様々な実験や観察をしながら歩きつづけます。かなりの距離を歩き、波打ち際に到着。面白いのは、そこに到着するまでの道に色々な変化があるのです。地が硬かったり、ズブズブと柔らかかったり、細かな砂粒がまとまっていたり…全てそこに棲んでいる生物域が違う事を意味しているのです。
干潟で観察できる、2枚貝バカガイ、アサリ、マテガイ、シオフキガイ、カガミガイ

さらに巻貝の解説、外来のサキグロツメタガイや、付近の貝塚でも見つかっているカラフルな色合いのイボキサゴ。縄文時代は貴重な食糧だったようです。東京湾の水質悪化でほとんど見られなくなっていたこの貝が、半世紀ぶりに東京湾三番瀬で生息確認されたニュースがありましたが、ここ前浜干潟には掘ればザクザク出てきます。

甲殻類、貝類がわんさかいる!判らないことがあると、風呂田先生がすぐに解説をして下さる贅沢さ!最高です♪砂から長い目を覗かせるオサガニや、甲は丸く厚みが有るボディ。縦に歩いたり、触ると死んだ振りをするマメコブシガニ

皆で、ドロドロと泥にまみれ、服が汚れようと濡れようとお構いなく遊び倒しました。
 

その後、河口の汽水域も観察し、シジミの生息域を観察したり、チゴガニの求愛ダンスを見て楽しみました♪なんと、この干潟では絶滅危惧種に指定されているカニの一種、ハクセンシオマネキを風呂田先生が見つけたこともあるそうです。

沢山のチゴガニ求愛ダンス~♪
日本列島の温暖な砂泥干潟に生息する小型のカニで、このチゴガニのハサミを振る動作が早いほど、メスにもてるのだそうですよ。早く振る=元気のいい個体=良いDNA的な?(笑) 1匹が振り始めると、他のオスも負けじと、「俺の方が早く振れるぜ!」と競う合うので、だんだんと同調するのだとか。でも、中にはやる気のないカニもいて、かったるそうに振っていました。
 

ランチは、見立て海岸食堂で浜焼き定食を味わい、観察会のまとめをして解散となりました。 ワクワクとドキドキ、驚きと感動と、干潟の生態系の半端ない面白さ、毎日でも通いたいと思うほど、刺激的な時間を過ごせました。
JCUEセミナーの中でも数少ないフィールドワークセミナです。今後もグレードアップして継続して行きたいと思います。

講師プロフィール

講師 風呂田 利夫(ふろた としお)

1948年生まれ。
1970年東邦大学理学部生物学科卒業。
東邦大学理学部生物学科助手、講師、助教授を経て教授、同学部生命圏環境科学科教授。
2013年3月定年 退職、東邦大学名誉教授、東邦大学理学部東京湾生態系研究センター名誉教授。理学博士。
JCUE正会員、NAUIのインストラクターで大学教員時代にはダイビングの実習を担当専門は海洋生物生態学。

開催概要

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