この記事は2016/4/2(土)に開催されたJCUEフォーラム『ナイトロックスとリブリーザー』の講演を動画で編集したものです。ナイトロックスの歴史・利点と注意点、さらにリブリーザーの構造から可能性について紹介いただきました。
講師は、株式会社IANTD JAPAN 代表取締役 田中 光嘉 氏です。
目次
Nitroxという言葉の誕生 ( 1分55秒)
潜水呼吸用の窒素・酸素混合ガスの初期の用途は、海中居住基地の環境ガスだった。
深度が15msw以深に数日以上、長期間滞在する場合、呼吸ガスが空気だと酸素分圧が高くなり肺に障害が出た。そこで、酸素分圧を低くするため純窒素を添加した。
この混合ガスをナイトロックスと呼んだ。
エンリッチド・エアーガスの歴史 ( 6分09秒)
空気に酸素を混合した呼吸ガスは、古くから医療用ガスなどで使われていた。
潜水の世界では1970年代からアメリカのNOAA(アメリカ海洋大気庁)が科学研究目的での使用のためにEnriched Air Nitroxテーブルと手順を開発した。ここで開発されたガスをNOAA‐Ⅰ・NOAA‐Ⅱと呼んだ。
覚えにくいため「ナイトロックス」と呼び、Nitroxの後に酸素濃度の数字を記載することが提案された。
窒素と酸素の混合気体の呼び名として使用されている。
酸素濃度と分圧と影響 ( 13分14秒)
分圧の定義/濃度(割合)と分圧を知ろう!
酸素中毒には急性と慢性2種類ある。
急性は中枢神経系酸素中毒(CNS)
慢性は肺と身体の酸素中毒(O.T.U / UPTD/CPTD)
ナイトロックスと窒素酔い ( 2分41秒)
窒素による影響を受けることは考えられるので窒素酔いの可能性はある。
エンリッチド・エアー・ナイトロックスの限界
- 酸素は1.4気圧を超えないように計画する
- 窒素は3.2気圧を超えないように計画する
エンリッチドNitroxの有効な運用方法は、水深40m以浅で減圧停止不要潜水を行い、空気減圧表を使用すること。
減圧とエンリッチド・エアー・ナイトロックス ( 10分22秒)
浮上すれば圧力は減るので、「浮上=減圧」です。
加速減圧の原理(ダイビングで窒素の排出を速める方法)
- 窒素分圧が低いガスを呼吸する方が、窒素は速く排出される。
- 窒素濃度を減らせば、酸素の割合が増え、酸素による障害が問題になる。
- 減圧時間と酸素による障害を天秤にかけて潜水計画を立てる。
- 呼吸ガスの消費を考え、必要と思われるガス量以上のガスを携行する。
潜水事故
- 最も多い潜水時の事故はAGE(動脈ガス塞栓症)41%で、減圧症12%。
- 呼吸ガスを確保する対策も、減圧症の対策と同様に準備しなければならない。
リブリーザーの世界 ( 16分40秒)
リブリーザーの原理
- ビニールやゴム製の袋をくわえて呼吸すると、何回かは呼吸ができる。
- しばらくすると息が浅くなって苦しくなって我慢できなくなる。
- 炭酸ガス(二酸化炭素:CO2)が増えて呼吸中枢を刺激するから。
- 炭酸ガス吸収をすれば、苦しくならないが、酸素が無くなり酸欠で死んでしまう。
- 酸素を消費した分を足せば呼吸は持続できる。
- この機構を機械的、電気的に完成させたものがリブリーザー。
いろいろなリブリーザーの紹介
そもそもなぜリブリーザーを選ぶのか ( 7分01秒)
ガスの使用量が少ない(小さなタンクで長く潜れる)
減圧時間が短い(加速減圧の活用)
呼吸ガスに水蒸気が含まれ脱水状態になりにくい
呼吸ガスが温かく体温の損失を防げる
レクリエーションダイビングに特化したリブリーザー ( 2分56秒)
EXPLORERの紹介
質問 ( 5分49秒)
- リブリーザーの初期投資はどれくらいかかりますか?
- リブリーザーの体験コースは実施していますか?