この記事は2015/6/10(水)に開催された第17回 JCUEカフェ『海に沈んだ歴史のかけら』の講演を動画で編集したものです。

過去の歴史に思いを馳せながら、当時の時代背景や人々の暮らしに夢と想像は膨らむお話です。

講師は、水中文化遺産カメラマン・アジア水中考古学研究所(ARUA)研究員 山本 遊児 氏です。

目次

水中文化遺産カメラマンの山本遊児 (4分11秒)

山本遊児自己紹介
水中考古学・水中遺産には2つの面があり,1つは学問で1つはトレジャーハンター。この2つは全く別物で,トレジャーハンターは泥棒であり,山本さんたちは学術調査を行い、水中ミュージアムとしての公開を目指しています。

福岡県 鷹島 (6分21秒)

日本で初めて海底遺跡に指定された遺跡です。蒙古軍の武器や兜,銭が発掘されました。この時代,銭はまだ日本では生産されていなく,すべて中国からの輸入で紐でつないで持ち運んでいました。蒙古軍の戦士は,お守りとして持って来ていたようです。

沖縄県 久米島 はての浜 (2分16秒)

昔から船の難所で,多くの船が沈んでいるようです。400年前明代の時代の椀が散らばっています。水中だけでなく浜にもたくさん打ちあがっています。沖縄県の埋蔵文化財として認定されているので,持ち帰ると泥棒になってしまいます。

長崎県 五島列島小値賀 (1分5秒)

400年前明代の茶碗や皿が発見されています。椀には「墨書」という墨で文字が書かれているものもあり,荷札としての意味があったようです。刀あとのある鹿の骨も発掘されています。食べた鹿の骨を船から捨てたようです。

福岡県 芦屋町 (1分30秒)

昔,軍の飛行場があり立ち入り禁止になっていた浜が,開放された時に浜辺に大量の肥前磁器が発見されました。この浜の沖に調査に入った時に,同じ内容の磁器が発見されました。分布状況を記録して引き揚げることになりました。

滋賀県 琵琶湖 彦根沖 (1分16秒)

石灯籠のパーツや磁器片・陶器片が見つかっています。年代は,陸上にあるものの研究から,室町時代頃と思われますが,なぜ琵琶湖に沈んでいるのかはわかりません。水中遺跡では,陸上に同時期の遺跡が必ず存在するので,陸上の遺跡を調べることも重要です。

沖縄県八重山 石西礁湖 (1分9秒)

石垣島,黒島,竹富島で囲まれた浅瀬があり,昔から船が沈んだようで、沖縄で作られたお茶碗や船のパーツが発見されています。潜水調査で船の状態などを調査しました。船釘が四角い形をしています。

島根県 石見銀山 (1分22秒)

銅製のキセル・肥前磁器・多数の石材が発見されています。石見銀山の積み出し港でしたからこのようなものが海底から見つかっています。

博多湾 (2分21秒)

博多湾から瓦が発見されています。1000年位前に平安京を造る時に集められたもので,当時は,役所か寺院でしか使われていませんでした。博多の窯元は分かっていましたので,京都まで海を使って運搬していたことがわかります。

静岡県 熱海初島 (2分38秒)

初島で発見された瓦には,葵の御紋があり,江戸城用の瓦です。江戸時代の初め,まだ江戸で瓦を作っていなかったため,大阪から瓦を運ぶ途中に沈んだものと思われます。海底には船体が埋まって保存されている可能性もあります。

高知県 土佐清水 (2分24秒)

大きさ50㎝~2mの石材が多数見つかっています。陸上の構造物が津波で流されたのではないかと予想されています。石材には「矢穴」という石材を切り出した時の跡がありますから,江戸時代のものと考えられます。

神奈川県 小田原石橋 (1分57秒)

江戸城の石垣用に伊豆半島から運んだ石材が沈んでいます。等間隔で鉄の矢を打ち込んで石を割るのですが,この穴を「矢穴」と呼んでいます。矢穴が確認できる石材が沈んでいます。

沖縄県 大宜味村 (2分45秒)

オランダ墓があり,オランダの船が沈んだと伝えられていて,調査したところ明代の茶碗が見つかりました。この船の乗船名簿にはイギリス人7名の名前しかなく,大型帆船を7名で操船したとは考えにくいことです。茶碗は当時の中国の奴隷(クーリー)が使っていたもので,中国人の奴隷をサンフランシスコに運ぶ途中に沈没したものと考えられます。

沖縄本島東部 (1分19秒)

船のパーツと薬莢が発見されています。江戸末期から明治初頭のもので,薬莢には木の栓があり,中にはまだ火薬が残っていました。調査はこれからで,水中遺産がある場所として開発をしてはいけない地区に指定されています。

瀬戸内海 (2分33秒)

船の残骸とともに,大量のレンガが見つかっています。近くには石炭もあり,明治中期のもので石炭を動力としていた船と考えられます。レンガにはマークが刻印してあり,研究者によって製作工場もやがて判明するでしょう。

沖縄県 古宇利島 (3分26秒)

太平洋戦争時の掃海艇「エモンズ」が沈んでいます。エモンズのそばには航空機のエンジンが落ちていて,97式偵察機のものです。アメリカの船は,他国の領海内にあっても所有権はアメリカが持っています。しかし、日本は昭和20年にすべての所有権を放棄しているので,大和も武蔵も所有権は連合国にあり,日本が引き上げることはできません。

神奈川県 小田原 根府川 (1分19秒)

水中には関東大震災の津波で流された駅のプラットホームと汽車の残骸があります。陸上の調査も行い,連続性を水中で確認します。ここは誰でも潜ることができる場所です。

長崎県 五島列島小値賀 (2分24秒)

13個の錨石が見つかっています。中国製の錨石で相当数の船が来ていたことがうかがえます。

沖縄県 石垣島屋良部 (1分41秒)

四つ爪の和船用の錨が見つかっています。石垣島で和船の錨が見つかったことが重要なことです。遺跡を水中の博物館としてみんなで守ろうという活動をしています。漁協・研究者・教育委員会・ダイビングショップの協力のもとに,日本で初めての水中ミュージアムとして,潜れるようになるでしょう。

沖縄県 与那国島 (3分37秒)

昔の帆船が利用した錨が沈んでいます。土肥神社には,同様の帆船の錨・幕末から明治初期のものが飾ってあります。戸田造船資料館には,ロシアのナディア号の錨があり,大きさは4mもあります。

四つ爪の錨 (2分37秒)

四つ爪の錨を集めてみました。古い錨の特徴は,円柱ではなく角材でできているというところです。注意してみると水中で発見できるかもしれません。発見した際には,是非情報提供をお願いします。

水中ミュージアム (8分56秒)

アジア水中考古学研究所(ARIUA)では,このような水中遺産を「水中ミュージアム」水中の博物館としてみんなに見てもらいながら,守っていこうと考えています。「水中ミュージアム」は研究機関・漁協・教育委員会・ダイビングショップが協力し合い,情報を共有し,遺跡を守り,活用する必要があります。

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