パラオ・ディドリーム・クルーズ船「龍馬I号」GMの秋野 大(あきの ひろし)さんを講師に招き、ミッドナイトダイブの魅力やテクニックを語ってもらいました。
目次
ミッドナイトの魅力とは?
- 夜なのに明るい
- 今までにないスタイルのダイビング
- 未知の生物との遭遇
- わからない生き物の種名探求
ミッドナイトダイブ(MND)とは?
- ミッドナイト=真夜中
- もともとは魚類観察のための学術ダイビング
- ブラックウォーターダイブ
- ライトトラップ
- ブラックナイトダイブ
ナイトダイブとなにが違う?
- 受動的ダイビング
大光量のライトトラップに集まってくる稚魚たちを待つ
- MNDのターゲット(狙う生物)
稚魚、深海魚、その他浮遊系生物 - ライト テニスコート1面分くらいを照らす ライトの色味(色温度)によってライトにつく魚が異なる
いろんな種類のライトを集めた方が面白い
ライトのセッティングは三脚に建てたり、ウエイトにステーつけてつけたり、ライトが動かないようにセッティングすることが必要。
また、バッテリーが潜水時間中十分持つように光量調整も必要。
バッテリーが切れても回収できるようにライトにケミカルつけておくこともあるそうです。
・ライトトラップの前 プランクトンが集まってくるので、それをねらう小魚があつまる
・光の光束の中 それが好きな魚が集まる MNDのメインポイント
・水面 表層にいる魚
・光の限界(沖、下) 深海系が集まるサルパ、クラゲはどこにでもいる
魚類、甲殻類は光束範囲の違いよりもポイントによっている種類がちがう。 - コアタイム=ベストタイム
・暗闇: 魚の集まり方が違う(暗いほど良い)
・月齢: 満月より新月が良い
・月の出、入り: 月の入り以降の時間帯が暗くなるので良い
・潮汐、潮流: 満潮に向かう時間帯は泳力がない小さい深海魚系が浅場にあがってきやすい。稚魚の活動時間: 稚魚は食物連鎖の最下層なので捕食者が寝ている時間が活動時間(22:00~3:00)
昨年のクルーズスケジュールのコアタイム例の説明をしていただいた。このときは月の入り時間から満潮時間までがコアタイム。
コアタイムの前後2時間はホットタイムで面白い時間帯とのことでした。ミッドナイトダイブを行う環境は外洋と接続している環境がベスト。
ドロップオフなら、深海魚との遭遇率もアップ。
日本は海岸線1mあたり13種の生物がいるとされているが、パラオは海岸線1m106種いる。
わからない生き物の種名探求
パラオ政府から捕獲許可を得て未知の稚魚を捕獲して船内の水槽で数日間観察してリリースしている。
稚魚は捕獲して水槽に入れるとすぐに体色がかわり始め、マツカサウオの場合は水槽に入れて5日目で正体がわかった。
MND撮影のアドバイスとして
- カメラのターゲットライトで照らして魚が逃げ始めたら要注意。魚はたいてい下方に逃げるので、魚に深海に連れていかれる。
- プランクトン系は流れに乗って逃げる(横に逃げる)ため、むやみに追いかけていくと予想以上にエリアから離れてしまうことがある。常に中層で活動するMNDではライトトラップとの距離を常に意識しながら潜ることが必要。
- ターゲットライトをカメラの上から照らすと、魚は下方に逃げるので、ターゲットライトをカメラの下から照らすようにすると魚は上方に逃げるので深海につれていかれない。
- MNDの撮影でコンデジはほとんど使い物にならないが、TG3,TG4の顕微鏡モード
だけは使えるとのこと。 - 一眼レフは60mmマクロを使用している人が多い。フォーカスはオートフォーカスでも意外といける。
- ストロボ2灯のセッティングも、透明感のある被写体は半逆光に照らすと透け感が増すので、ストロボ1灯のアームを長めに伸びるようにして、1灯は前から、1灯は斜め後ろから照らすようにすると良いようです。 また、ストロボに筒をかぶせてスヌートのように細工すると浮遊物やプランクトンの映り込みを抑えられるとのアドバイスもありました。
私はまだMNDの経験がないので一度チャレンジしてみたいと思いました。
JCUE会員 佐々木紅良