JCUEでは、2017年春から『UWインタープリター(アンダーウォーター・インタープリター)』の養成を目指しプログラム化を検討してまいりました。
「インタープリテーションの世界」 2017年5月22日 東京海洋大学
生物や生態系に興味のあるダイビングガイド向けに、インタープリターの面白さや発展性、社会的価値を紹介するワークショップを開催し、プログラムの楽しさや奥深さを学びました。
「海洋生物と環境の係わり」 2017年10月30日 東京海洋大学
インタープリターに必要な基礎知識を得るためのセミナーを開催。「地球環境」「生物・生態学」「海洋のゴミ」をテーマに専門家から講義をしていただき、事前準備の教材にしました。
そして・・・
「UW インタープリター養成講座<海洋実技セミナー>」 2017年12月18~19日 富戸
待望の海洋実技セミナーを開催! 伊豆を中心に活躍する15名のプロガイドが集結し、内容がみっちり詰まった2日間の養成講座を実施しました。 UWインタプリタ―の世界!! ワクワクとドキドキをお伝えします。
目次
開会式
富戸ダイビングサービスに、2日間のセミナーを共に過ごすメンバーが集まりました。
アイスブレイク
「食物連鎖」の教材カードを使ったゲームを通し、交流・コミュニケーションを深めながら、意見を自由に言える環境を整えていきます。
アイスブレイクで、5名一組の3グループが決定しました。グループごとにまとまり、プログラム作りの行程が始まります。
事前学習のふりかえり
UWインタープリター養成講座では、基礎知識は動画教材をあらかじめ視聴して集合していただきました。
参加者は、5月と10月のセミナーを編集した動画教材(下記4テーマ)を視聴、テストをおこなう事が義務付けられていました。
「インタープリターとは」古瀬 浩史 30分
「地球環境」五味 久昭 40分
「生物・生態学」風呂田 利夫 64分
「海洋のゴミ」坂本 昭夫 24分
確認のクイズにグループ単位で取り組み、動画内容をふりかえりました。
自然観察プログラム
実際のプログラムを作るために「必要な視点とは何か?」を古瀬先生からヒントを得る実習に入ります。
1.不思議に思う→2.想像する→3.観察する→4.発見する→5.新たな疑問
これは、インタープリターの視点として、とても重要なものです。実際に、インタープリテーションの手法を学ぶ体験の始まりです。
グループのテーマを決める
インタープリターの視点や方法を学んだ後、実際にグループごとに、プログラム作りのためのテーマのアイディア検討に入りました。各グループで、水中でやってみたいことをブレーン・ストーミングを行い、活発な意見が次々と出されます。参加者の目がキラキラとしておりましたよ。
ある程度、テーマがまとまった所で午前中は終了!さぁ、午後からは実際に海洋へ出発です。
素材さがし
グループごとに、テーマに沿ったプログラムの素材探しに…
「こんな素材はどう?」水中で、活発な意見交換がされていました。
水底に這いつくばり、素材を探す姿は…何をしているのか知らないダイバーから見たら、『異様』な光景だったことでしょう。70分にも及ぶロングダイブでしたが、素材集めを終えプログラム構成と教材制作へと移ります。
プログラム&教材作成
さあ、グループ+チューターのメンバーで、プログラムを作り上げます。
自然観察のプロセスをどう組み立てるのか? どのような視点を示し、参加者の発見や気付きを誘い出すか? 観察の視点や態度を検討、議論は深まります。翌日の実演に向けて、教材作りを行いながら準備に余念がありません。
疑問、質問が出た場合は、古瀬先生と風呂田先生がグループへ直接アドヴァイス下さいます。
ミニ講義
全ての作業を終えた後は、懇親会となりました。ここで、先生方よりミニ講座を開いていただきました。
★風呂田先生「富戸・ヨコバマの環境から、生態系を見つめる」
陸地の成り立ち~そこに育まれている生態系についてのお話を頂きました。素材さがしのダイブで撮影した写真を見ながら、解説を頂きました。風呂田先生が、まるで少年の如く…キラキラと目を輝かせながらのお話は、参加者に新たなる視点を示してくださいました。
★古瀬先生「ムラサキウニとガンガゼの針」
普段潜り慣れている海、見慣れた生物でも、良く観察すると…驚きの世界が広がる!今回は、実際に潜った際に拾ったムラサキウニとガンガゼの針を顕微鏡で観察してマクロの世界を覗いてみました。一同「おぉぉぉ~っ!」と驚く秘密が隠されていたのです。とても、興味深く刺激を受けたお話でした。
プログラム実習
ブリーフィング(そそのかし)
いよいよ、各グループのプログラム実演が始まります。
プログラムの流れや観察方法をブリーフィングします。各グループともに、ゲストへの興味付けやトークの組み立てもバッチリです!ブリーフィングを聞いているだけでも、ワクワクします。
水中での観察活動
各グループ、実演をするポイントへ移動。ガイド1名、ゲスト4名でプログラム開始です。
実演をしている人たち以外は、周りでそのプログラムを見学し、進行状況をチェックします。
デブリーフィング(ふりかえり)
水中の観察を踏まえ、各自の発見や気付きを拾い上げ、その解釈に結びつけます。
3つのプログラム
グループ1:テーマ「スナモン」
水中で拾ったものをじっくり観察することで、新たなる発見が!
グループ2:テーマ「一緒」
生物を写真に撮り、水中の様々な関係性を考える…
グループ3:テーマ「サラサエビ」
いつも見慣れている生物をじっくり観察することで、見えてくる新たなる発見!
フィードバック
インタープリター視点で、作った3つのプログラムを実際にデモンストレーションすることで、新たなる発見や改善点が見えてきます。各プログラムに対して、参加者の意見をフィードバックし、より深く練り直すヒントとなりました。プログラム作成のためには、その海の持つ地形や歴史、生態系、気象、様々な循環等、幅広い知識が必要となります。人の暮らしと生物多様性、生態系への関わりなど、自然科学の知識レベルを高めるとともに、常に自身が興味を持つ姿勢も大切です。
まとめ
インタープリテーションとは何か?自然を発信者が情報の提供や説明をするのではなく、自然体験や触れ合いを通し、事象の意味や関係性に参加者自身が気付きを得る事です。そして、インタープリターは、自然と参加者との様々な関わりを提供し、気付きの手助けする役割を担うものです。今回の養成講座では、参加者が実際に体験を通し、様々な気づきと発見を得てプログラム制作に取り組みました。
ただ単に、生物を紹介するだけのガイディングにとどまらず、ゲストへ新たな視点を提供する技を体得できました。普段のガイドにプラスαで、新たなる手法のプログラムを取り入れたら…ダイビングの楽しさが倍増しますね。
「JCUE認定・UWインタープリター」授与式
全てのカリキュラムを修了し、「JCUE認定・UWインタープリター」が誕生しました。
授与式では、参加者のみなさんの感想をいただきながら、この2日間の感動を分かち合いました。
どうですか?皆さんの笑顔あふれるお姿!今後のガイディングへ生かすべく展望もお話頂きました。
今回のセミナーで考えられた3つのプログラムについては、参加したインストラクターのショップで順次開催される予定です。『どんなプログラムなんだろう~♪』『わぁ~興味深々!!~参加してみたい!』と思われた皆様、是非とも下記ショップへお問い合わせくださいね。
今後の展望
養成講座<海洋実技セミナー>が無事に終了致しました。参加者も、開催者側も新たなる気づきと、発見に溢れたセミナーとなりました。環境教育という視点で、今後も会員の皆様に活用いただける情報の提供、セミナー開催、そして何よりもUWインタープリターを参加者と共に広げる活動を進めてゆきます。来年は、第3回国際サンゴ礁年もあります。ますます環境との関わりを考えるチャンスです。知識を深めるためのセミナーも、既に予定されています。今後もUWインタープリタ―養成の動きにご期待ください!
第一回UWインタープリター認定者
矢北 洋介 城ケ崎インディーズ
矢北 拓也 城ケ崎インディーズ
田副 雄太 マリンステージ
春原 佳奈 マリンステージ
横田 雅臣 GO TO THE SEA
仲 祐介 Nature Tour Shop inside
木部 悟 Clover Diving Service
若狭 朋幸 黄金崎ダイビングセンター
吉田 俊雄 伊豆ダイビングスクール
細谷 拓 すぐもぐ
茂野 優太 すぐもぐ
山本 徹 ケンボーダイビング
鶴岡 一郎 ㈱シーエス
武田 美亜
川端 潮音
*講師
古瀬 浩史
風呂田 利夫
*スタッフ
山中 康司
壇野 清司
桑原 龍哉
矢北 浩司
山内 まゆ