『私たちJCUEは、ダイビングの安全や環境教育に取り組み、NPOとしての活動が15年を超えました。
そこでダイビング業界に輝かしい功績を残し、現在もまだまだたくさんのチャレンジをされている先輩方のお話を、インタビューでお伺いする企画をスタートしました。
初回は、 須賀次郎さんをお招きし、山中会長がお話を伺いました。

須賀次郎さんは、ダイビングの黎明期に株式会社スガ・マリンメカニック設立、水中機 器の設計製作、全国の研究機関の依頼により水産関連・海洋の調査を確立。
全日本潜水連盟・社会スポーツセンターを始め潜水教育機関において、一般の潜水普及を牽引されてきました。
1986年 有限会社 アアク・フアイブ・テレビを設立、テレビ朝日の「ニュ-ス・ステ-ション」で、【水中レポートシリーズ】を担当し、お嬢さんの須賀潮美さんが海の中からリポートする画期的な映像を届けてくれました。

須賀次郎さんとの対談を、お楽しみください。

須賀 次郎(すが じろう)さん プロフィール

大学時代に「海で生活することができる研究者になり、潜って魚を突き、南のヤシの葉陰で研究をしよう。『銛を持つ淑女』という本を書いた、海洋生物学者のユジニ・クラークのように生きたい。」という思いから、海を学べる東京水産大学に1955年4月入学。

大学の『水産生物研究会』クラブにて活動をはじめる。
その後、大学1年生の水泳実習にて、初めてアクアラング(スクーバダイビング)に出会い、海に潜るスポーツマン、科学者の中の1人になり、できれば先導者になりたいと決意を固める。

大学時代の論文のテーマは、「サザエの日周成長線」。
1959年3月 東京水産大学増殖学科卒業。
水産生物の生態潜水調査専攻。

大学卒業後は東亜潜水機に勤務。
2010年、特定非営利活動法人 日本水中科学協会(JAUS)を設立し代表理事に就任。
財団法人 社会スポーツセンター顧問。
元 株式会社スガ・マリンメカニック 代表取締役(潜水調査の会社)
ダイビング指導関係では全日本潜水連盟の理事長を多年勤める。

【対談】JCUE会長 山中 康司 with 須賀 次郎

山中
今日はよろしくお願いします。

須賀
僕が一人でこう生きてきましたというのは、本も書いたし、雑誌にも連載しているからそれを読んでもらったらよいことで、山中さんとは今までじっくりお話しするチャンスはなかったから、こうして一対一で話すことができるせっかくのチャンスなので、この話を受けました。

山中
ありがとうございます。

須賀
娘の潮美は、法政大学の後輩だったよね。その旦那の柴田さんは?

山中
一学年、先輩です。

須賀
山中さんもそういう縁で親戚みたいなものだから、できることは協力したいと思いますよ。

山中
よろしくお願いします。

須賀
JCUEというのは、どうしてできたの?

山中
昔、NAUIという組織の中に、インストラクターで運営されている協会がありました。NAUIエンタープライズとなってしばらくして、協会の役割を見直した結果、NAUIの枠を飛び出して会員の持っている知識を活かそうということになり、15年前にインストラクターのアソシエーションとしてのNPOに生まれ変わったんです。

須賀
山中さんとは本当に古い、そして親しいお付き合いをさせていただいてきていますね。JCUEの初期に、ダイビングフェスティバルで、僕が何か話したよね。

山中
ちょうどその頃です。その節は、ありがとうございました。

須賀
その延長線上で、JCUEとは、できるだけ協力関係を持ちたいと思います。
目標をずらしたいのですが、JCUEが何でもやるので、難儀ですね。(笑)

山中
JCUEの活動もそれぞれの分野の専門の方に動いてもらっています。JAUSさんとも得意な分野をお互いに協力していければと思います。

須賀
僕が考えているのは、オペレーションなんだよね。それぞれの分野で、例えば『減圧症』は、やはりお医者さんの分野だしね。『減圧症にならない潜り方をしよう。』という、僕らがやらなければならないことをやっていけばいいんだよね。
目標が重なっても、視点とアクセスが違えば、良いので、JAUSとしては、オペレーションの研究を中心にして、水中活動学会、といったようなスタイルでやっていきたいと思っています。ご協力ください。

山中
水中活動学会ですか!!
JAUSの名前も水中科学協会ですのでその分野は素晴らしい方向だと思います。
JCUEでも、『酸素の問題』などを取り上げて、セミナーなどを開催しています。

須賀
あまり杓子定規に考えてもね・・。
いくつかのテーマがあるんだけど。
ダイビングのPDCA を確立して行く、まずは Plan の研究から入って行く。
次にDOとして、自分たちの活動を通して、それぞれのシーンでのダイビングの運用を固めていく。ワークショップなどで検討して、実際の潜水にフィードバックして行き、それを文書化する。
そんな形で、レクリエーショナルダイビングをサイエンスとつなげていきたい。

山中
レクリエーションとサイエンスですね。

須賀
そう、幾つかの事故があった影響で、今、大学など、研究者のダイビングは衰退していますが、サイエンスダイビングの背景となるレクリエーションダイビングが安全で充実したものであれば、大学、研究機関のダイビングも勢いをとりもどすと思っています。

山中
そうあってほしいですね。

須賀
世の中が、ダイビングは安全だなどと言うものだから、いい加減にやったら死んじゃった。世の中が悪い、という報告を読んだことがあります。世の中がしっかりしないといけないということだろうね。
そして、オペレーションと運営を考えていくことを、考えているんだけどね。
進行中の活動は、人工魚礁とレクリエーショナルダイビングとのかかわりかたについてまとめて行く。人工魚礁での魚類観察と記録の方法を決めて、全国の定点で記録を継続して行くとデータとして貴重なものになる。人工魚礁での記録スタイルを天然の礁にも適用すれば、海全体の記録ができる。継続してデータをとることが重要だよね。
別の、具体的な活動例としては、東京港 お台場の潜水調査は24年間継続している。
福島いわき沖の人工魚礁調査も継続のスタートを切りたい。そう思っています。

山中
そうなんですね・・。

須賀
未来についての話だけど・・。
絶対、僕が生きているうちにはかなわないと思うんだけど、いろいろなところで話していれば、叶うと思っているんだよ。
お台場で潜っているんだけど、将来、シャワーと脱衣所くらいは用意したいんだよね。
東京湾の青海北ふ頭公園、以前の船の科学館近くにリサーチステーションをつくりたいと考えています。
ホースで空気を送り、潜ることができる設備を整えたいと思います。ホースで潜るからタンクを持って行かなくてもいいんですよ。
50メートル四方の海に浄化装置を付けて、酸素がたくさんあるポイントを作ると、そこには東京港中の海の生き物たちが集まってくるかもしれない。そんな、サイエンスの追求ができるダイビングのポイントを都内、都市の海に作りたいという気持ちです。

山中
おもしろそうですね~。

須賀
雑談が楽しかったので口をすべらせました。誤解を招きかねませんが、
今、ダイビングの姿勢について、どんなふうになっているのかなあ。

山中
最近「ソロダイビング」、「セルフダイビング」、「バディダイビング」など、話題になっていますね。

須賀
言葉はいろいろだけど、一人で潜っているのが「ソロダイビング」なのではなく、ソロとは、自分の心の姿勢だろうと思っています。つまり、自己責任、自分の命は自分でしか守れない。
僕の場合、60年のダイビングライフで、お客様と潜る時以外はほとんど気分はソロでした。アシスタントとバディでいても、ソロです。アシスタントという以上、僕についてきて僕の安全をフォローする。
こんな一方的なバディは、仕事では良いのですが、レクリエーションではできないでしょう。
一方でダイビングはチームプレーだとも思っています。学生のダイビングともかかわりが深いんだけれど、いわゆるチームの形としての「バディダイビング」は、学生の間では、決められた大学生の仲間であったり、上下関係もあるので、うまく働きます。先輩から後輩へ安全な潜り方を伝えることもできます。また、チームで潜ることで、チームプレイとしてのダイビングの魅力も伝えてもらいたいと思いますね。

山中
バディダイビングを進めているんですが、自分のスキルと健康管理は自分で責任を持って潜る人が自分で保険をかけて、万が一事故があった時には、様々な人が救助などに関わってくるので、そのかかった費用は保険を使ってくださいという考えは、どうなんでしょう。

須賀
今、潜水の歴史を書いていますが、潜水の歴史を追っていくと、1970年代まではそれぞれ、自分の命に自分で責任を持っていました。現在は、考え方が違ってきています。
ダイビングは商品スポーツである、など責任の方向が変わってきています。
潜水事故の三大原因は、私が思うに・・へたくそ、思い上がり、病気、ですが、昔の事故は、一人で行方不明になるとか、思い上がりが中心、そして、次には、へたくそが自分の命をガイドダイバーやインストラクターに預けるようになり、そのミスで命を落とすことが多くなり、これからは高齢化時代を迎えて病気が事故の主流になるのかな、高齢の病気の場合には、事故と呼ばないようにする必要があるかもしれない。死ぬまで生きたのだから、寿命。(笑)

山中
そうですね、自分の命に責任を持つというは大切なキーワードだと思います。世の中が訴訟世界になっていくのは仕方ないのかもしれませんが、自己管理や責任の意識も持っていかないと、特にアウトドアの活動は厳しくなって行きますね。今日は、本当にありがとうございました。潜水の歴史の本も楽しみにしています!

編集後記

勝田 麻吏江
東京、京橋のあるスペースで、2018/2/14にインタビューをお願いしました。
トレードマークのお帽子をかぶり、初めはどんなことを話すのかなとおっしゃっていた須賀先生。インタビューが始まるとにこやかにお話しが止まりませんでした。

須賀 次郎さん著書





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