2025年9月11日(木)、JCUEオンライン特別企画「未来に残したい海を考える」が開催されました。
 今回は、現役高校生による環境教育プロジェクト「Blue Campus」のメンバー3名が登壇し、それぞれの海への思いや活動について発表をしました。

Blue Campusとは


Blue Campusは、高校生ダイバー・大沼七奈さんを中心に設立された団体です。
全国の高校生がオンラインでつながり、地球温暖化や海洋酸性化、海洋プラスチック、釣り糸や釣り具のごみ問題など、様々な海洋課題に向き合っています。現在は専門家へのインタビューを重ね、その内容をまとめた「海の教科書」を制作中です。監修は東京大学・道田豊先生が務め、次世代への環境教育に役立つ教材として完成を目指しています。

発表の内容

今回の発表では、3名のメンバーがそれぞれの視点から「海と向き合う思い」を語りました。

山本 詩さん (石川/高校2年生)

釣りが大好きで、幼い頃から海と親しんできた山本さん。
しかし釣りを続ける中で、年々海岸や漁港に落ちているごみの量が増えていることに気づき、「このままでは釣りができなくなるのではないか」という強い危機感を抱くようになりました。
海岸清掃を続けるだけでなく、スポGOMIワールドカップ石川大会に出場し、優勝という成果を収めました。
オーストラリア留学時には、釣りライセンス制度を持つ国の仕組みを学び、自然利用と保全のバランスを考える契機となりました。
「日本でも釣りライセンス制度を導入すべきではないか」と提案し、今後は政策提言につなげたいと語りました。

山本さんの発表は、「好きだからこそ守りたい」という原体験に基づいた行動力が印象的でした。

片岸 拓也さん (神奈川/高校2年生)

片岸さんのテーマは「地球温暖化と海洋問題」。
中学時代に漁業と温暖化の関係を調べたことをきっかけに、気候変動が海に与える影響に関心を持ちました。
ミドリムシを用いたCO₂吸収実験などを独自に行い、科学的アプローチから環境問題を学びました。
高校では「トビタテ!留学JAPAN」を活用してタイへ渡航し、サンゴの調査やマイクロプラスチック回収を現地で実践。そのデータは大学研究機関へ提供しました。
英語で研究計画書を作成するなど、国際的な発信を意識した活動を展開しています。

将来的には研究者として学術的に貢献しつつ、社会に還元できる人材を目指したいと語り、研究成果を国際学会で発表することも視野に入れています。

大沼 七奈 さん(埼玉/高校3年生 Blue Campus代表)

大沼さんは、幼少期から海に親しみ、国内外でのダイビングや研究経験を重ねてきました。
特にメキシコ留学でエコツーリズムや資源管理を学んだことが、自らの活動を広げる大きなきっかけとなりました。
国内では藻場再生活動に参加し、地域の漁業や生態系のつながりを現場で学びました。
北海道大学発のプログラムに参加し、ドローンによる海洋調査を行い、その成果を国際学会で発表。研究的な視点からも海と関わり続けています。
「同世代に海のことを伝える人が少ない」という危機感から、Blue Campusを設立。SNSや学校でのワークショップを通じて活動を広げています。
現在は「海の教科書」制作を進めており、漁師・研究者・NPO・ダイバーなど多様な視点を集めて次世代に届ける挑戦を続けています。

大沼さんは、「子どもが動けば大人も変わる」という信念を掲げ、次世代が社会を動かす力を強調しました。

これからの挑戦へ

高校生たちは現在、「海の教科書」制作を進めています。
この教科書を全国の子どもたちに届けることで、海洋問題をもっと身近に感じてもらい、次の行動へとつなげていくことを目指しています。
この挑戦を実現するために、クラウドファンディングにも挑戦中です。
皆さまからのご支援が、彼らの活動を未来につなげる大きな力となります。
【クラウドファンディングの詳細・ご支援はこちらから】
https://camp-fire.jp/projects/868156/view
※締切:2025年9月30日

参加者の声

発表後には、多くの参加者から感想が寄せられました。その一部をご紹介します。
「現役の高校生達がこれだけ真剣に自然環境について考えてくれていることに感心しました。大人にはない視点や純粋な思いに触れ、強く心を動かされました。」
「世代を超えて海の未来を考えられる機会は貴重でした。ダイバーとして日々海の変化を感じていますが、高校生の視点から学べることが新鮮でした。」
「海が好きという気持ちから出発し、実際に行動に移している姿に感動しました。まだ粗削りな部分はあっても、意見を聞き取り入れる姿勢が素晴らしいと思います。」
「高校生たちが自分の言葉で海や環境について語る姿は頼もしく、涙が出そうになりました。」
「問題意識を明確に持ち、同世代や大人を巻き込みながら挑戦している真摯な姿に希望を感じました。」
こうした声からも分かるように、今回の企画は参加者に深い共感と感心を与え、世代を超えて「未来に残したい海」への思いを共有する場となりました。

まとめ

JCUEはここ数年、「未来に残したい海」― みんなで守ろう豊かな海、今できること、今知ること をテーマに活動してきました。
今回の高校生たちの挑戦は、このテーマに真正面から応えるものであり、次世代の若者が自ら立ち上がり行動していることに大きな意義があります。
彼らの言葉や行動は、参加した一人ひとりに「自分にできることは何か」を考えさせるきっかけとなり、大人である私たちにとっても強い刺激となりました。
JCUEとしても次世代の活動を応援し、未来へとつながる海をともに守っていきたいと考えています。

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