Chasing Coral (Netflix)より

2018/5/26(土)は、国際サンゴ礁年2018の取り組みの一環として、「チェイシング・コーラル」の無料上映会を開催いたしました。
この映画は、ダイバーと科学者、写真家らが結成したチームが地球温暖化などの気候変動により枯れ果てゆくサンゴ白化現象を定点観測により、映像として残した貴重なフィルムです。ダイビングやスノーケルをしないと覗けない海の中…サンゴの危機的状況を描くドキュメンタリーです。

Chasing Coral (Netflix)より

目次

サンゴ礁の生態系と地球温暖化

サンゴ礁は、さまざまな生命の共同体であり、サンゴと魚類、サンゴと甲殻類、サンゴとプランクトンなど…共生しながらいのちを紡いでいます。
生物学者は、「サンゴ礁は、大きな生態系の基礎、サンゴが消えれば魚も消える。1つの種の絶滅ではない、全ての生物が絶滅するかもしれない。」「サンゴは、自分で生息域を作る、人のように多種多様でサンゴ礁は、海のマンハッタンである。そして、地域社会に近い、それぞれの生物にそれぞれの仕事がある。例えば、ブダイはサンゴを食べるが、ブダイの糞は砂を作るのである。生物の25%がサンゴ礁に頼り、依存している。」と述べていた。
海水温度の平均値が変化してきたのは1980年、97〜99年白化開始、そこから世界規模での白化現象へつながる。海で生きる生物にとっては、海水温=体温であり、長期間にわたる平均温度上昇は命にかかわるのです。人間で例えると平熱36.5℃の人の平均が2℃上昇する…38.5℃になる。その体温を考えて、「たった、2℃じゃないか」と言えるだろうか?
平熱38.5℃で、環境によっては上下を繰り返す。生命を維持するのは非常に困難である。
「あと25〜30年後には、サンゴが生きてゆけないかもしれない…悲しいがこれが現実である。」と多くの生物学者が語る。
この海水温上昇については、やはり二酸化炭素(CO2)よるところが大きい。先日の国際サンゴ礁年2018 オープニングシンポジュウムでも、琉大の土屋先生や研究者の皆さんが言われていた。CO2による地球温暖化問題をどうするのか?CO2の93%が海水に吸収され海水中のCO2濃度が増加し、phが低下する。海水が酸性化することにより、石灰化しにくくなるので、サンゴの骨が形成しにくくなる(成長の遅れ)や溶けてしまう現象がおきるのです。もちろん、サンゴだけではなく貝類の貝殻にも影響がある。
映画の後半に、世界各国の海水温上昇によるサンゴの死滅に至るまでのタイムラプス映像が流れます。衝撃的な映像です。
『私を見て気づいて…』とサンゴの映像が心に突き刺さり、見る人に訴えかけます。

Chasing Coral (Netflix)より

サンゴ礁のこれから

初めてサンゴの研究をされたジョン・チャーリー・ベロン博士との対談の中で、『サンゴに寿命はない、環境が許す限り存在続ける。サンゴは永久にあるものだと思っていた。だが、環境は変わった。』と述べられた。私達は、太古から続くサンゴが、今、我々の目の前で死にゆく姿を見つめるだけしか出来ないのであろうか?
『まだ手遅れではない、温暖化の速度をさげる事。クリーンエネルギーを宣言すること』と、ジョン・チャーリー・ベロン博士は残された希望を語られた。

Chasing Coral (Netflix)より

国際サンゴ礁年2018とは?

 2018年は、このキーワードを耳にすることが多いと思います。だけど、具体的に何をやるのか?何を目的にしているのか?自身で調べてみないと良くわからないキーワードなのかもしれません。「サンゴ礁保全のため、NPO、企業、行政、研究者、マスコミ、水族館、ダイビング指導団体などが連携した活動を行う1年」を目的にしたスローガンです。

この2018年度の国際サンゴ礁年の目標は、「つながる、広がる、支えあう」で、人とサンゴ礁、人と人とが互いにつながり、活動が広がり、支え合っていく事を目指しています。
今年は、全国各地でサンゴに関する様々なイベントか開催されていますので、是非とも参加してみてはいかがでしょうか?

報告:山内 まゆ

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