目次

NitroxとRebreather

ナイトロックスとリブリーザーの歴史と仕組み

Nitroxという言葉の誕生

  • 潜水呼吸用の窒素・酸素混合ガスの初期の用途は、ハビタットと呼ばれる海中居住基地の環境ガスでした。1960年代初期から、海床への関心が世界的規模で広がっていった時期に有名な海洋探検家ジャック・イブ・クストーが行ったコンシェルフ(Conshelf)プロジェクトがその好例です。ハビタットは水面近くから100mの深さに至るまで、水中のあらゆる所に設置され、滞在記録も1日ないし2日から数週間に及ぶ海中居住がおこなわれました。当時のハビタット潜水に関する詳細な記述は数多くの文献に見られます。
  • 水深の浅い所に設置したハビタットでは内部環境ガスとして空気を使った例が多く、また、そこから海中に出ていくときには、殆どの場合空気が使われました。(例外としては、コンシェルフ計画では40m以深でヘリオックスを用いました。)
  • 深度が15m以深(絶対環境圧2.5気圧)の所に数日以上、長期間滞在する場合には、呼吸ガスが空気だと酸素分圧が高くなりすぎて肺に障害が出ました。
  • そこで酸素分圧を低くする必要がありました。当時酸素分圧を低くするためハビタット空間に純窒素を添加し、その結果できた混合ガスをナイトロックスあるいはアンリッチド・エアーと呼びました。

エンリッチド・エアーガスの歴史

  • 1794年、医療用ガスとしてO2+AIRを使用(Reddoes)
  • 1874年、・気球を使って高所でO2+AIRを使用。
    ・CNS酸素中毒が確認される(Paul Bert)
  • 1879年、50~60%のミックスを使用して最初のO2+N2ダイビングが行われる(Henry Fleuss of Siebe Gorman)
  • 1912年以前に、スクーバ用に酸素と空気の混合が行われる(Siebe Gorman)
  • 1913年、自動O2+AIR 60製造機が作成される(Dräger社)
  • 1940年、20mまでの連続的なダイビングにO2+AIR 60を使用したセミクローズドサーキットスクーバを開発(Lambertson)
  • 決定的なPO2 限界として2 気圧 を使用(英国海軍)
  • 第二次世界大戦中、奇襲作戦のためにEAN 60がクローズドサーキットリブリーザーで使用
  • これらのシステムの次世代機がこれまでに軍で使用されています。
  • ケイブ、ディープレック、テクニカルダイバーは数十年もの間O2+AIRを使用
  • 1950年代、安全性を高めるためと作業時間を伸ばすためにコマーシャルダイバーがO2+AIRを使用
  • 1970年代、アメリカNOAAは科学研究目的での使用のためにO2+AIRのテーブルと手順を開発
  • 1991年以降、UKの科学者はHES(Health and Safety Executive)のライセンスでO2+AIRを使用
  • O2+AIRは30年以上もダイバー、ノンダイバーの治療用ガスとして使用
EANx (Enriched Air Nitrox) の歴史(研究潜水・作業潜水)
  • 作業潜水の世界では1970年代からアメリカのNOAA(アメリカ海洋大気庁)が科学研究目的での使用のためにEnriched Air Nitroxテーブルと手順を開発しました。ここで開発されたガスの名称は当初は開発したNOAAの名前が付いており、
    NOAA‐Ⅰ(酸素32% + 窒素68%)
    NOAA‐Ⅱ(酸素36% + 窒素64%)と呼ばれました。
    しかし覚えにくい!そこで「ナイトロックス」という言葉がとても覚えやすいことに目をつけ!何とか使う方法を模索した結果Nitroxの後に酸素濃度の数字を記載することが提案されました。
    それで Nitox32 Nitrox36 という表記ができました。
IANTDの設立の歴史
  • 1980年代にNOAAでエンリッチドエアー研究のスーパーバイザーを行っていディック・ラトコウスキー氏は1985年にNOAAの職を辞しIAND/International Association of Nitrox Diversを設立しました。彼のゴールはエンリッチ・ナイトロックスの利益をスポーツダイビングの世界に紹介することで減圧をより安全なものとする方法を教えることにありました。
  • 1992年の初めにトム・マウント氏が加わり世界初のテクニカルダイビングのトレーニング指導団体として IANTD / International Association of Nitrox and Technical Diversに名称が変更されました。
Nitroxの歴史(エンリッチドエアーの誕生)
  • スポーツダイビングにエンリッチド・エアーを使用することに関する論争は、1992年1月、ヒューストンで開催されたDEMA (Diving Equipment Manufacturers Association)の直前に頂点に達しました、ナイトロックスの推奨者であるIANTDの関係者が一時的に展示会から締め出されたのです。
    懸念されたのは、火災あるいは爆発を起こすかもしれないようなやり方で高酸素濃度混合ガスを従来のスクーバ装置に使用することに対する懸念からでした。
    場合によっては、製造メーカーがコントロールできない様なことまでも責任を追求されることにもなりかねないと思われたからです。
    この締め出し措置(こらは、後に撤回された)や一般的論争のために、この問題を討議するワークショップが開かれました。
    そこでは、いくつかの誤解が明らかになり、また、スポーツダイバーはエンリッチド・エアーに強い関心を持っていることが明らかになりました。
窒素と酸素の混合気体の呼び名
  • Nitrogen(窒素/N2)& Oxygen(酸素/O2)の混合気体ということでいえばNitorox(ナイトロックス)という言葉は当初の酸素濃度の低いガスから、酸素濃度の高いガスまですべてナイトロックスということです。一般的に科学の世界では、含有する量が多い方が先に表示されるため、Nitrox51はOxyNox51になってしまいますがこの場合そういう意味で付けられた名称ではないため、また混乱を招かぬようにNitrox51になります。
    Nitrox32 Nitrox36 Nitrox40 Nitrox60 Nitrox75 Nitrox80 Nitrox90 etc
    すべて数字は酸素の割合を現しています。
ナイトロックスとエンリッチドエアー
  • 「エンリッチド・エアー」と「ナイトロックス」の妥協の産物として、「エンリッチド・エアー・ナイトロックス」と言う他の用語も使われています。エンリッチド・エアー・ナイトロックスと言う言葉は正確ですが長たらしいので「EAN」と省略されることもあります。また「EA」と言う略語も使われたりと、多用されています。
  • 「Nitrox」はNitrogen-Oxygenの短縮語で頭文字を繋ぎ合わせたものではありません。このように「Nitrox」という言葉には曖昧さがあります。NOAAにおけるエンリッチド・エアー潜水の推進者であり、ハビタットで真の意味でもナイトロックスを使うことを推奨したモーガン・ウエールズ(Morgan Wells)博士は、空気もナイトロックスの1つの形態であると指摘しています。
まとめ
  • Nitroxは Nitrogen and Oxygen の造語で、SCUBAのように頭文字をつなげたものなどではありません。ですからNitrox32のように酸素の混合されている割合の数字を付けて使っています。

酸素濃度と分圧と影響

水深の制限は酸素と窒素のどちらで決まるのでしょう?

  • 潜水深度の制限について考えたことがある人はどのくらいいるでしょうか?
  • マニュアルにはちゃんと書いてあったはずですが?
  • OWダイバーは18m以浅 Advanced OWなら40m以浅ではなかったのでしょうか?
  • この規定は空気潜水でタンク1本使用した場合で考えられた容量の限界と窒素酔いによる危険性を考えての限界深度だと思います。水深40mでは1気圧の5倍のスピードで空気を消費します。
  •  深い場所ではタンクは速く減ります
    (1気圧で60分潜水可能なタンクは水深40mでは12分で空になる計算です。)
  • 窒素分圧PN2が5.0を超えるとDeep water blackout の危険も考える必要があります。
分圧の定義/濃度(割合)と分圧を知ろう!
  • 濃度は山の上でも水中でも変わらない
  • 分圧は気圧の変化に比例する
  • 分圧が変わると性質も変わる
  • 1気圧の空気の酸素分圧は1気圧の21%の圧力と考えると 1気圧×21%=0.21気圧
  • 1気圧の空気の窒素分圧は0.79気圧
  • 分圧は潜降に応じた気圧分をそれぞれに掛ける
    2気圧での空気では酸素分圧 0.21×2=0.42気圧
    2気圧での空気では窒素分圧 0.79×2=1.58気圧
酸素中毒
  • 酸素中毒には、急性と慢性の2種類がある

急性は中枢神経系酸素中毒(CNS)

  • ダイバーは急性に注意
  • 酸素分圧1.6気圧(空気で66m潜水)で最大暴露時間は45分
  • 暴露した分圧と時間で%を算出し、滞在した各水深の%の合計を計算して予防する。
  • テクニカルダイバーは特に注意が必要

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慢性は肺と身体の酸素中毒(OTU / UPTD/CPTD)
  • 肺と身体の酸素中毒は暴露した酸素分圧が0.5気圧以上で時間に比例し、注意が必要
  • OTUの算出は公式に基づいて算出する。(OUTの公式参照)
  • 例)酸素分圧1.2気圧 240分潜水(潜水No.1)=OTU317
  • OTU850を超えないように計画することで予防する
  • リブリーザーの複数日潜水は急性、慢性の両方に注意

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ナイトロックスと窒素酔い
  • 窒素酔いは空気潜水では30m程度から顕著に影響を及ぼすといわれている。
  • 窒素分圧が3.2気圧を超す暴露圧力からリスクがUPする。
  • Nitrox32で40msw潜水した場合、窒素分圧は
    0.68×5 = 3.4気圧
    になり窒素の影響を受けるため窒素酔が起こらないとは言えない。
エンリッチド・エアー・ナイトロックスの限界
  • エンリッチド・エアー・ナイトロックスが潜水用ガスとして効率的な水深は、15m~25mだと言われています。
  • 理由は40mへNitrox32で潜水すると、酸素の圧力が1.6気圧に達するからです。(計算は0.32×5気圧=1.6気圧)この酸素圧力では急性の酸素中毒(中枢神経系酸素中毒)に罹る可能性が高くなります。これ以深に潜水すると危険なためNOAAでもアメリカ海軍でも推奨されていません。実際の作業潜水深度では安全のマージンをとるため酸素の圧力は1.4気圧程度で抑えます。
  • 窒素が空気潜水の30m程度の3.2気圧を超えると窒素酔いに罹り、判断ミスや判断の遅れから危険度が増します。
  1. 酸素は1.4気圧を超えないように設計
  2. 窒素は3.2気圧を超えないように設計
    することで危険回避につながり、効率的な作業が可能です。

深く潜る場合、酸素は減らせばよいのですが、同時に窒素を減らすことはできません。そこで窒素が3.2気圧を超える場合の解決策はヘリウム混合で平衡させるのです。

エンリッチドNitroxの有効な運用方法は、水深40msw以浅で減圧停止不要潜水を行い空気減圧表を使用することです。

減圧とエンリッチド・エアー・ナイトロックス

エンリッチド・エアー・ナイトロックスと空気の対比
エンリッチドとは空気成分の酸素の比率を増やし、窒素を減らすことによって、減圧症に罹る確率を減らす目的で開発されました。
減圧症の危険度は身体にかかる窒素の圧力が高いほど、多く溶け込むため高くなります。
空気と Nitrox 32を比べた場合Nitrox 32の方が窒素の圧力が低いため溶け込み量は少なくなります。
 1気圧でも窒素は0.79気圧分が身体に溶け込んでいます。
 1気圧中では、空気は 0.21気圧の酸素 と0.79気圧の窒素で構成され
同じくNitrox32では0.32気圧が酸素と 0.68気圧の窒素で構成されています。  

減圧
  • 潜水すると圧力が高くなる。
  • 浮上すれば圧力は減る。

  浮上=減圧 ということです。

  • 身体に溶け込むガス量によって減圧停止が必要かどうかが決まります。
  • 減圧停止が必要な潜水はレクリエーションではなくテクニカルダイビングで必要なテクニックです。
  • ダイビングコンピューターはあなたの身体を分析しているのではありません!
    アルゴリズム(公式)に従って計算しているだけです。単なる計算は安全?ではありません。
安全率を高めるために開発されたEANx
  1. 窒素の影響を抑えるために、窒素の割合を下げた呼吸ガスがNitroxです。
  2. Nitroxの窒素分圧を下げられる限界は40m付近にあります。
  3. 酸素分圧を上げられる限界も40m付近にあります。
  4. Nitrox32もしくはNitrox 36の効率の良い水深は15m~25mです。
安全な潜水のために
  1. Nitrox32を空気減圧表で使用する。
  2. 空気潜水に準じた滞底時間を使用し、ボトムタイム延長の目的で使用しない。
  3. 水深制限を厳守させる教育を行う。
Nitrox 32で40m以深への潜水について
  • 仮に45mに墜落したとしても、PO2は1.8程度です。
  • USNAVYの規定では5分未満のPO2 2.0暴露が認められています。
  • 昨年変わった日本の高圧則ではさらに高い酸素分圧でも良いとされています。
  • 極度にPO2 1.6を超えると危険と教え過ぎてはいけないと思います。
  • 45m潜水するのに空気を用いるというのは、減圧症のリスクを考えると本末転倒といえます。
  • テクニカルダイビングの入門コースで行う、Recreational Trimix 25/30やAdvanced Nitroxでの加速減圧を勉強したほうが良いでしょう。
減圧と潜水の考え方
  • 減圧を早めるためには窒素濃度が低いガスが必要です。
  • 窒素濃度を減らせば、酸素の割合が増え、酸素による障害が問題になります。
  • テクニカルダイバーは減圧時間と酸素による障害を天秤にかけて潜水計画を立てます。
  • 呼吸ガスの消費を考え、管理します。
  • 必要と思われるガス量以上のガスを携行する。
  • 基本的には自分一人で賄える装備を準備する。
  • バディは頼る存在ではなく助け合える存在。
加速減圧の原理

ダイビングで窒素の排出を速める方法

  • 空気でダイビングを行い、浮上時水深10mで減圧停止を行う場合
  • 空気で減圧停止=窒素分圧1.94気圧(79%)のガスを呼吸
  • Nitrox80で減圧停止=窒素分圧0.4気圧(20%)のガスを呼吸
  • 窒素分圧が低いガスを呼吸する方が、窒素は速く排出される。
潜水事故(NAVSEA調べ)

最も多い潜水時の事故はAGE(動脈ガス塞栓症)41%あります。
減圧症は12%(Ⅰ型減圧症2%・Ⅱ型減圧症10%)しか起こっていません。
事故を起こしたダイバーの多くが、呼吸ガスが無くなって急浮上した結果です。呼吸ガスが無くなれば苦しいので息堪えしたまま浮上しようとして肺胞を損傷します。開式潜水器材は呼吸ガスが無くなればすぐに苦しくなるので予備のタンク(cylinder)がないと、バックアップにはなりません。
水中では呼吸できる環境が重要です。
減圧症だけではなく、他の原因の対策も合わせて考えなくてはなりません。
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リブリーザーの世界

リブリーザーの原理
  • ビニールやゴム製の袋をくわえて呼吸すると、何回かは呼吸ができます。
  • しばらくすると息が浅くなって苦しくなって我慢できなくなります。
  • 炭酸ガス(二酸化炭素:C O2 )が増えて呼吸中枢を刺激するからです。
  • 炭酸ガス吸収をすれば、苦しくなりませんが、やがて酸素が無くなり酸欠で死んでしまいます。
  • 酸素を消費した分を足せば呼吸は持続できます。
  • この機構を機械的、電気的に完成させたものがリブリーザーです。

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呼吸とは何か
  • 肺活量(VC):息を最大限吸い込んだあとに肺から吐き出せる空気量のこと(男性平均5000cc)
  • 一回換気量(TV):1回の呼吸で喚起する量 肺活量の20%~25%(1250cc)
  • 毎分呼吸回数(RR):1分間の呼吸回数 (平均15回)
  • 分時換気量(MV):1分間の換気量は1250cc×15回=18,750cc(約20ℓ)
  • オープンサーキットSCUBAでは、1分間に20 ℓの空気を消費する。
  • 潜水すれば、10mで2倍:40 ℓ 、20mで3倍:60 ℓ 、40mで5倍:100 ℓ 消費する(水中に捨てている)
  • 酸素摂取量は、呼吸量の約5%:20 ℓ の5% は1ℓ  これは水深で変化しない。
  • 消費した酸素を追加するだけであれば、多くの酸素を持っていく必要はない。
  • 小さなタンクで長く潜ることができる。
酸素リブリーザー(酸素リブリーザーの図参照)
  • カウンターラング(袋)に息を吹き込み、カウンターラングのガスを吸う。
  • 炭酸ガスはキャニスターで吸収し取り除く。
  • 酸素ボンベから自動ガス供給弁を介して、消費した酸素を供給する。
  • 泡は出ない(閉鎖回路:クローズド サーキット)。
  • 純酸素を使用しているので、6m以深へ潜水できない。

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半閉鎖リブリーザー(半閉鎖リブリーザーの図参照)
  • 構造の基本は酸素リブリーザーと同じ。
  • 酸素の代わりにNitroxを使用する。
  • Nitroxを流量調整機(オリフィス)から常に流し、フリーフローさせる。(泡が少し出る)
  • 流量は酸素分圧が一定なるように調整(深いほど減少)

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リアルな沈黙の世界へ e-CCR (e-CCRの図参照)
  • e-CCR:エレクトリック クローズド サーキット リブリーザー(閉鎖回路)
  • 構造の基本は酸素リブリーザーと同じ。
  • 酸素センサーが酸素分圧を感知し、制御機が電磁弁を介して電気的に酸素を供給する。
  • 酸素と窒素の分圧の調整は希釈ガスの添加により行う。

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呼吸抵抗
  • 呼吸抵抗は、呼吸努力量といえる。
  • 呼吸抵抗がある一定以上あると危険。
  • 1分間に90 ℓ の呼吸(1回3ℓ ・1分間に30回呼吸)が可能であること
リブリーザーの呼吸抵抗
  1. 呼吸回路の設計によって変わる。
  2. カウンターラングと肺の位置関係で変わる 。
  3. 弁の構造、炭酸ガス吸収剤の通過デザインで変わる。
  4. 姿勢を変えると変化する。

そもそもなぜリブリーザーを選ぶのか

潜水時間の比較(潜水時間の比較の図参照)
ダイバーの呼吸量:20ℓ毎分(1気圧下)と想定し 酸素消費量は5%で1ℓです。

  • 開式SCUBAは14ℓダブルタンクで200気圧使用。
     陸上(1気圧)では280分(4:40)呼吸可能ですが、潜水すると30mで70分、70mで35分となる
  • 閉式CCRは2ℓタンクで200気圧の酸素を使用(希釈ガス中の酸素は計算していない)
     水深に係わらず400分(6:40) 呼吸が可能です。
  • 閉式CCRの方が小さなタンクで、長時間潜ることができる。

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器材別の減圧時間と使用ガス量の比較(45m潜水時比較)
  • 表でCCRがいかに減圧時間が短く、使用するガスの量が少ないか確認できる。

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Open circuit SCUBA とe-CCR 生理学上の比較(生理学上の比較の図参照)
  • 呼吸可能時間や減圧時間は、これまでの説明の通り閉式が有利です。
  • 閉式は炭酸ガス吸着時に水蒸気や熱が発生するため、脱水症や体温の損失に関しても有利です。

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事故率
  • CCRダイビングの事故は、SCUBAの8倍と多い。
  • 機材が複雑ですが、機材のトラブルというより、ヒューマンエラーで事故を起こしている。
  • 炭酸ガス吸着剤の入れ忘れやタンクのバルブの開け忘れなど。
  • 慎重に使用する必要がある。

レクリエーションダイビングに特化したリブリーザー

レクリエーションに特化したリブリーザーの仕様とは!
  1. 誤った組み立てができない形状デザインであり、頑丈な設計のユニットであること。
  2. スクラバーキャニスターを入れ忘れた場合、呼吸ができない機構がありダイバーに警告を発すること。
  3. ユニットは、前もってパックされたCO2スクラバー・カートリッジが使用できること。(製造元は承認済みの材料・技術によって事前にアセンブリーされたもの)
  4. ダイバーがマウスピースのマッシュルームバルブ機能を確認後、プリダイブ・チェック中に呼吸回路内陽圧/陰圧チェックを自動で行うこと。
  5. プレダイブ手順に正しく従わない場合は、潜水することを了承しないが生命を維持する機能は行うこと。
  6. 酸素センサーのセルフキャリブレーションができること。
  7. 電子系統が正しく起動しない場合ユニットは自動で起動しダイバーに警告すること。
  8. ベイルアウトが必要な場合、目視で簡単に確認できるように表示すること。(例:HUD-ヘッドアップディスプレイ)
  9. マウスピースをはずさずに片手でオープンサーキットベイルアウトに切り替えることができること。
  10. 呼吸時にカウンターラング容量が少ないとユニットは自動でループ内にディルエント/ガスを追加できること。
  11. ディルエント/酸素/ガスの供給が適切に行われない場合、ダイバーに警告を発すること。さもなければ、関連するガスに自動で替わること。
  12. バッテリー残量を知らせ、非常に少なくなると、警告すること。
  13. ディルエント/酸素/ガスの供給が低くなりすぎると、ダイバーに警告すること。
  14. セットポイントを自動で切り替えること。
  15. 深さ40m(130ft)でも正常に機能すること。
  16. 通常使用時ターゲットセットポイントに、より近いPO2を保つこと。
  17. PO2が高くなりすぎると、ダイバーに警告すること。
  18. PO2が低くなりすぎると、ダイバーに警告すること。
  19. PCO2が高すぎる場合、もしくは、スクラバー残量を予測するシステムがある場合ダイバーに警告できること。
  20. 回路内にオーバープレッシャー・リリーフ・バルブ(OPV)があること。
  21. 他のダイバーが使用できるセカンド・ステージ(例:オクトパス)を合うように設定できること。
  22. ユニットには、“ブラックボックス”データレコーダー機能があること。
  23. 18m(60ft)の深度で減圧停止不要潜水を行う場合、携行するガスの容量の範囲内で緊急時にBOV(ベイルアウトバルブ)を使用して、浮上するためのガスを取り置く機能があること。
  24. リブリーザーは、国内・外問わず、認可された第三者による適切な基準に準じたテストを受けていること。クローズド・サーキット・ミックスガス・リブリーザーには、例として、CE-EN14143(CEマーキング獲得済み)や、NOAA Minimum Manufacturing & Performance Requirementsが含まれます。

レクリエーションに特化したリブリーザー:EXPLORER(エクスプローラ)
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EXPLORERの機能

上記の使用をほとんどカバーした機材といえる。

  1. プリダイブチェック機能
    スイッチを入れた段階から自動で潜水前のチェックを行う機能。
  2. 酸素センサー3個による監視機能
    • 呼吸回路内の酸素分圧を監視し、水深に応じた酸素分圧を保つ
    • 呼吸回路内の酸素分圧の低下を感知すると、呼吸回路内のガスを棄てながら新鮮なガスを供給する
  3. 炭酸ガス分圧監視機能
    炭酸ガス分圧が上昇した場合に警告を出す機能で、炭酸ガス吸収剤の劣化などで危険な場合を知らせる
  4. 炭酸ガス吸収剤のカートリッジ・インジケーター
    カートリッジを入れないとインジケーターが緑にならずまた、呼吸もできない。
  5. 減圧監視機能及び減圧停止前警告
  6. 残圧警告
  7. ガス消費量異常警告

EXPLORERのダイブプロフィール
EXPLORERでは下記のようなダイブプロフィールのダイビングを楽しめる。
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おまけ

ダイバーの肺と生活習慣
煙草の影響

  • 肺のガス交換を妨げる
  • サーフェクタンス能力の低下
  • 二酸化炭素耐性が上がる
  • 減圧症の罹患率が上がる
  • 窒素用に罹りやすくなる
  • 中枢神経酸素中毒に罹りやすくなる。
  • 一酸化炭素を溜めこむ
  • ヘモグロビンへの親和力は酸素の何倍?
  • 完全に排出するにはどのくらいかかる?
  • 肺胞や肺組織が弱ると
  • 皮下気腫 縦隔気腫 気胸 に罹る
    禁煙しましょう!!

質問

リブリーザーの初期投資はどれくらいかかりますか?
Nitrox供給がなければできない。しかもNitrox36を使いたいがなかなかその状況が難しい。
リブリーザー1台の上代は850,000円くらい。
炭酸ガス吸着剤は1缶20ℓ(13回分)で20,000円
他に、酸素センサーも1年に1回の交換が必要
リブリーザーの体験コースは実施していますか?
リブリーザーの体験コースは実施していますか?
八丈島コンカラーで行っている。伊豆では行おうとしているが、まだ状況が整わない。
伊豆大島では、今年インストラクターを養成したので、これから開催の予定です。

講師

田中 光嘉

株式会社IANTD JAPAN 代表取締役
株式会社ブルークエスト 代表取締役

  • 1990年から2009年まではハミルトンリサーチ社のR・W Hamilton博士とGrand bleu Feanoの開発を行う。
  • 近代的リブリーザーの研究を行う。
  • 1998年Cis-lunar MK5PをNHK報道局に潜水訓練指導
  • 2000年防衛省特殊機材導入コンサルタント
  • 2005年アクアラング社コンサルタント
  • 海上保安庁 特殊救難隊リブリーザー潜水指導
  • 一般社団法人水中技術開発センター理事

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