4月7日(土)に開催されたJCUEフォーラム第2部は、ドルフィンスイマー、写真家、水中モデルの鈴木あやのさんの講演です。あやのさんは、TV・CM・ラジオ等、幅広いご活躍をされています。トレードマークの「白ビキニ」で野生のイルカと優雅に泳ぐ姿は、美しく見る人を魅了します。どうしたら、あやのさんのようにイルカと泳げるのでしょうか?写真や動画を交え、そんな秘密を語って頂きました。

目次

野生のイルカと泳げる場所

今まであやのさんが、実際に野生のイルカと泳いだ場所をご紹介いただきました。
まずは小笠原諸島、あやのさんが初めてイルカと出会った場所です。そして、利島、能登等があげられました。一番通っているのは、あやのさんのホームグランドである御蔵島。今現在、約130頭のイルカが生息しているそうです。

海外は、ハワイ島、ジープ島、そして「ナイトドルフィン」が出来るというバハマ。夜間、浅瀬に船を停泊させ、ライトを照らして魚をおびき寄せると、それを捕食するためにイルカが寄ってくるそうです。それが楽しくて2~3時間でも平気で海にいるというあやのさん、驚きの体力ですね。

イルカと泳ぐために必要なこと、大事なこと

 イルカと泳ぐテクニックを様々な視点からお話を頂きました。『一番大事なのは、イルカの生態などを良く知り、行動を観察し、イルカに合わせて泳ぐことです』と語るあやのさん。それぞれの視点から、ポイントを教えてもらいました。

ポイント1:イルカの生態を知る

 水族館で飼育されているイルカは、人の指示によりフレンドリーに接する等、ふれあいが出来る状況にあります。野生のイルカはどうなのでしょうか?

あやのさんが通う御蔵島のイルカは社会生活を営み、仲間で協力して子育てをしたり、海藻や生き物を捕まえて遊ぶ、時には赤ちゃんイルカの授乳する場面を観察することもあると言う。嬉しい時は、呼吸孔から泡を出してピーピー鳴きながら泳いだり、若い雄同志で絡みあい行動をするときは、イルカが興奮状態だったり気がたっていたり、人とイルカが楽しそうに泳いでいると割り込んできたり、嫉妬したりと感情表現も豊です。
大切なのは、そんなイルカの生態を知り、むやみに近づいたりしないこと。イルカが興味を持って近づいてくるのを待つことです。

ポイント2:泳ぎ方

 遊びそうなイルカを見つけたら、イルカの目を見て、イルカの動きに合わせて泳ぐ!こと。泳ぎ方は大きく2パターンあります。ドルフィンキックと普通のフィンキック。

お勧めは、普通のフィンキック!両手は体側に置く事で、イルカとの距離を縮めるのと同時に、目と目の距離も近くなる。ゆっくりとフィンキックをし、上半身は動かさずに、首や腰のひねりと足でバランスを取る。
イルカは人にスピードを合わせてくれるので、フィンキックを殆どしなくても、イルカの泳ぐ水流に乗って泳ぐことができるそうです。

ポイント3:テクニック

 ドルフィンスイムをするには、このテクニックを覚えることが上達の秘訣!

  1. 水面で目を合わせて泳ぐとき
  2. 水面で一緒に泳いでいるイルカの方向を変える
  3. 水中でイルカと回る、イルカを回す?
  4. イルカと一緒に浮上したい時
  5. 息をながくするために
  6. 手を使わない耳抜き
  7. 視線を合わせたまま、視界の端で他のイルカを観察 etc…

これらテクニックを動画で解説しながら、細かく説明をして下さいました。簡単にできそうですが、しっかりと練習を重ねなければ難しい技の数々に驚くばかり。

安全への配慮と練習のすすめ

 泳げなくてもドルフィンスイムは大丈夫…なんて聞いたことはありませんか?あやのさんは、「フィンやマスクが無くとも、普通に水泳は出来て、自分の安全確保が出来ない限り、海で泳ぐべきでないと思っています」と注意を促します。どんな事態が起きても、慌てずに対処でき、絶対に無理をしないことが大切です。それらを克服するため、プールでの練習方法を伝授してくれました。

水の抵抗を少なくする方法、水面を泳ぐイルカにアプローチする泳ぎや、イルカの位置を見失わない様にする潜り方など、直ぐにでも練習したいテクニックばかりです。
「水中で身体のバランスが自在に取れるようになると、視野が広くなり、リラックスして自由に泳げる!落ち着いて潜れるので、安全に配慮できる。ダイビングにも、素潜り練習は最適。」と、あやのさんからのアドバイス。

まとめ

今まで、さまざまな場所で開催された鈴木あやのさんのセミナーを見てきましたが、ここまでドルフィンスイムのテクニックにこだわった内容は初めてではないか?と感じました。短い時間ではあったが、参加者に分かりやすく解説し、何が必要であり、何が大切なポイントなのかがまとめられていました。そして、あやのさんのドルフィンスイマーとして、モデルとして「いかに、きれいに潜るか」という映像美にこだわる細かなテクニックに感服させられた。ご主人と二人三脚で作り出す、水中ならではの三次元空間の表現は、イルカの生態について研究をされているからこそ映し出せる技である。

今回、あやのさんにお話しいただいた内容は、写真集『イルカと泳ぐ(新潮社)』でも紹介されているので、是非とも手に取って頂きたい一冊です。
もうひとつ!耳寄り情報です。2018年7月6日~11日 オリンパスギャラリー東京(新宿)で、「水中フォトフェスタ!」開催。7月7日は、あやのさんのギャラリートークショーが予定されています。皆様、是非とも足をお運びくださいね。

https://fotopus.com/event_campaign/showroomgallery/detail/c/1132

報告:山内 まゆ

鈴木あやのさん著書

写真集「イルカと泳ぐ」(新潮社)

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