年間20回以上海外に出かけ、文字通り世界の海を潜っている若き水中写真家・古見きゅうちゃんが、最近になって改めて日本の海を見つめ直して潜っているとのこと。
それはおもしろそうだと思い、今回の講演に参加してきた。

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講演の冒頭で、彼は写真を撮るときは、自分の感じた面白さを具体的にしたいから、常に本を出すことを想定していると語った。
つまり今までたくさん潜ってきた日本の海の面白さを、さらに具体的にしたいと思ったのだろう。
その思いに火をつけたのは、ナショナルジオグラフィックの世界的に著名なカメラマン、ブライアン・スケリー氏。
氏が撮った日本の海の写真を見て、すごいという感銘を受けると同時に”俺が見た日本の海はこんなもんじゃない、圧倒的に足りない、もっと伝えられるはず”と思ったそうだ。

この講演に彼はものすごい数のスライドを用意して、まずは自分のダイビングの基盤となった和歌山・串本の海の話から始めた。黒潮が一番あたる潮岬に広がる串本の海は、温帯地域にあるが、海中は亜熱帯に分類されるそうだ。
確かに串本の海には数十種類の造礁サンゴに満ち溢れ、生息している生物も沖縄近辺とかぶるものが多い。
ところが同じ紀伊半島を挟んだ西側の須江や古座の海では、伊豆近辺と同様な温帯(暖温帯)の海中景観が広がり、ソフトコーラルが多く、生息する生物も同様である。
また2000年前後の海中と現在では、育っているエダサンゴ類も微妙に変化しているらしい。近い海でもそういう多様性が見られることが日本の海の面白さの一つである、と感じられた。

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続いて沖縄の海の話になると、太古の昔から潜ってきたであろう琉球人の目線の話になった。
金色のスカシテンジクダイの群れが赤いサンゴに絡んでいる写真を出し「これを見て琉球人は首里城とその町並みをイメージしたに違いない」とか、エギジット直前の海面の写真を出し「この光と波の揺れが、琉球グラスだ」と語った。
石西礁湖のサンゴ礁などと絡め、米国の海洋生物学者・ジャック・モイヤー氏のオリジン(いわゆる原点)を引用するあたりはなかなか面白く、その見方は納得させる力があった。

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知床半島のスライドを出したあたりから、伝えたい思いが溢れすぎて、講演時間を10分延長しても、後半はボルト並みの速さになった。
断片的にお伝えすると、サンゴ礁と流氷が同じ国にあるのは日本だけとか、流氷は露のアムール川から流れてくるがこれもオリジンの目線であるなどと話した。

屋久島、青海島、柏島、伊豆、小笠原、八丈島、女川とまだまだ聞きたい話が山ほどあったが、それはいつの日か彼の思いがカタチになる、つまり本になるときまでの楽しみにしておこうと思う。

時間のある限り、彼の講演には参加しているが、毎回爽やかで明るい色の格好で登場している。
ところが今回はグレー基調でストライプニットのフードカーディガンという、妙にかわいらしいが、若さイマイチという格好で登壇していた。
聞けばこの日は「寒かったから」ということ。
講演内容を含め「若き」というキャッチフレーズは、そろそろ取るほうがいいのかもしれないと感じた講演であった。

講師プロフィール

古見 きゅう 水中写真家

古見きゅう

東京都出身。本州最南端の町、和歌山県串本にて、ダイビングガイドとして活動したのち写真家として独立。

現在は東京を拠点に国内外の海を飛び回り、独特な視点から海の美しさやユニークな生き物などを切り撮り、新聞、週刊誌、科学誌など様々な媒体で作品や連載記事などを発表している。

2015年にはウミガメを題材とした写真絵本
「WAO!」(小学館)、

世界中の海の情景をまとめた
「THE SEVEN SEAS」(パイインターナショナル)、

ミクロネシア連邦チュークの海底に眠る沈船を、9年に渡り記録したドキュメンタリー写真集
「TRUK LAGOON」(講談社)

の全くテーマの異なる3冊を上梓し、話題を集めた。




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