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開催日時 2014/11/26(水) 11:00~16:40
開催場所 静岡県伊東市 富戸ダイビングサービス、八幡野ダイビングセンター
協力 いとう漁業協同組合 富戸ダイビングサービス、八幡野ダイビングセンター

昨年のJCUEカフェで、風呂田先生から「ダイビングガイドはインタープリターの要素を持ち、ダイビングツアーをエコツアーとして世の中にアピールすることが新しいビジネスチャンスにつながるのではないでしょうか。」と提案していただきました。今回は、その提案を受けて、実際のダイビングを行いインタープリターについて実践的なプログラムを行いました。インタープリターとは、翻訳者という意味で、生物と環境のかかわり方や生物同士のかかわり方といった自然の仕組みを、解説する者のことです。ですから、インタープリターは自然の仕組みに対する知識が必要です。自然の仕組みを理解するには生態学的な視点が役立ちます。

風呂田先生から生態学的な視点を講義していただき、生物のドラマを紹介するガイドを目指しました。今回の課題は、自然の仕組みを紹介するガイドのブリーフィングを写真を交えて行う、ことにしました。参加者は3~4名の3つのチームに分かれて課題に取り組み、発表していただきました。

当日は、雨が降り北東の風が吹くというあいにくの天候で、富戸は潜水禁止となりダイビングは八幡野に移動するというあわただしい行程になってしまいました。

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10:30 受付開始

11:00~12:10 生態学的な視点の紹介(風呂田)

12:10~12:20 チームで概略の打合せ

12:20~13:00 移動&昼食(チーム毎)

13:00~15:00 ダイビング&写真撮影(チーム毎)

15:00~15:20 移動(チーム毎)

15:20~15:55 生態学的ストーリーのまとめ(チーム毎)

チーム毎に、写真の生き物のストーリーを考える

15:55~16:30 ワークショップ形式の発表

各チームのストーリーを写真を使って紹介

風呂田先生からのコメント

16:30~16:40 まとめ(風呂田)

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各チームは、生態学的な視点で次のようなテーマでまとめていただきました。

八幡野の海岸線は溶岩の流入でできた地形で、隙間がありその隙間を利用する生物が多いという、地形と生物の関係に注目したチーム

地形とサザエのいる場所の関係、海藻の繁茂との関連に注目したチーム

生物同士が一緒に生きている共生に注目したチーム

今回参加していただいた方は、生物に対する興味が深く知識が豊富で、生態学的な視点を活用したストーリーをみごとに展開していただきました。

参加者に感想を聞いてみると、

・いつもと違う見方を教えていただき面白かった。

・水深と海藻の量の関係が面白く感じました。今までとは違った見方ができました。

・淡水の影響が気になりました。

・メンバーの意見をまとめるのに時間がかかり、やりにくかった。

・ブリーフィングと設定に無理があったような気がします。

などがあり、新しい視点を提供できよかったと思う点と今後のプログラムへの課題もいただきました。

最後に、風呂田先生から次のような、まとめがありました。

関係性と歴史性をうまく引き出すことが大切です。環境と生物の関係、生物と生物の関係を、長く観察することで時間による変化に気がつくと思います。自分のフィールドで観察し続けることで、オリジナリティが育ち、人それぞれの解説ができるようになるでしょう。自分で長く見続けることにこだわりを持って観察することが大切です。海の生物に興味を持って解説力を身につけ、多くのダイバーに自然の仕組みを紹介してください。そのことが自然保全につながり、豊かな海を次世代に残すことになります。

最近はフィッシュウォッチングが盛んになり、ガイドやインストラクターも、魚をはじめ、エビ・カニ・ウミウシなどいろいろな生き物の知識を持っている人が多く、生き物の話題をよく聞くようになりました。しかし、珍しい生物の名前を紹介することばかりに偏っていて、いつもいる生物を紹介することは無いようです。いつもいる生物がなぜいつもいるのか?どんな一生を送っているのか?生き残り子孫をつなぐためにどんな工夫をしているのか?ここに注目すれば、その海のすごさが理解でき、その海を次世代に残そうという気持ちも伝えられるのではないでしょうか?まだまだ海の魅力は深く、プログラム開発の可能性を感じ、ダイビングツアーのニッチの大きさを感じるセミナーでした。

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目次

講師経歴

風呂田 利夫

理学博士 元東邦大学理学部生命圏環境科学科教授

現在、東邦大学名誉教授 東京湾再生官民連携フォーラム監事 東邦大学理学部で30年間、海洋生物の生態を研究する。

在職中は学生の臨海実習を担当するとともに、ダイビングインストラクターとして潜水実習も行う。

近年は、東京湾をはじめとするフィールドで底生生物の調査研究を実施、干潟の生物の市民参加型の踏査研究を企画実施中。

首都圏の影響を受ける東京湾干潟を生物の視点から環境教育を展開している。

プロジェクトマネージャー 檀野 清司

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